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燃料タンク・サビ取り前の事前洗浄がすごく重要というお話

 

 

■サビ取りの前にしっかりと洗浄ができていないとどうなる?

 

 

燃料タンクコーティングといえば
特殊なケミカル類を使用する
「サビ取り」や「コーティング施工」がメインの作業だと思われがちですが
実際に最も重要な作業とは「事前洗浄」なんです。

 

この「事前洗浄」って何か?と言いますと
「サビ取りケミカルを入れる直前までに行う洗浄作業全般」を意味します。
どれだけ重要度が高いか、を端的に言いますと 
「この作業を疎かすると以後の作業はすべて失敗している」という事になります。
特にこの辺りの作業にミスを残したまま
コーティング施工まで突き進んでしまうとやり直しや後戻りができません。
完全に「詰み」です。
勢いだけでロクな確認作業をしないままコーティングしちゃってませんか?

 

「事前洗浄」や「サビ取り」の段階で汚れが残っていないか?
この確認をしつこいくらい行うことが成功への第一歩です。
もちろん他にも大切な作業や確認事項は沢山あるにはある、のですが
単調で地味な作業ですし、ついつい疎かにしてしまいがちな内容ですので
注意喚起の意味もあり文章にしておこうかと考えるに至った次第です。

 

 

では事前洗浄で汚れが落ち切っていないままコーティング施工してしまったらどうなるか?
良く似た現象として「塗装のハジキ」を例に出しておきます。
多くの塗装を経験された方には簡単に想像しやすいかと思いますが
塗装面の脱脂が上手くできていない影響で油分が少しでも残っていた場合には
その部分だけと塗料が乗らず密着することはありません。
結果として油分がある場所は塗料が押しのけられて凹みが出来たりする現象を「ハジキ」といいます。
それと同じ現象が燃料タンク内部に入れたコーティング剤にも起きる訳です。

 

通常の自動車向け塗料の多くは「外面塗装」を目的としており
燃料タンクコーティングのような「内面塗装」とは素材や性質自体が違っていますが
塗装不良についての考え方や実際に起きる症状はまったく同じです。
汚れが残った部分はコーティング剤が乗りません。
ほぼ完全に弾かれてしまいます。
汚れが表面積の1%いや…0.1%に満たないほど小さかったとしても、です。
何度もコーティング剤を入れ込んで塗膜を厚くして乾燥を繰り返したとしても
そもそも下地が全く張り付いていない訳ですから何の意味もありません。
乗らないモノはどうやっても乗りません。
コーティング剤を流し込むことで残った汚れがあったとしても一切見えなくなってしまいますから
一見すると「しっかりコーティングされている」ように見えますから判断は難しいのですが
コーティング剤が密着不良状態のまま乾燥しちゃう、という事実には変わりはないのです。

 

 

コーティング剤が弾く・剥がれるといった症状の原因ですが、実は「汚れ残りだけ」ではありません。
燃料タンクの構造や素材にといった根本的な要因に関わるお話になってきます。
こちらも長~い作文になりそうなのでそのあたりはまた後日…

 

 

さて、この「塗膜が密着不良」の状態で燃料タンクを使い続けるとどうなるでしょうか?
コーティング剤が付着しなかった部分からガソリンが浸み込んで
少しづつゆっくりとコーティング皮膜が弱い部分から鉄板と分離して剥がれていきます。
いずれ大部分が剥がれて鉄板が露出、酸化反応が始まります。
残った汚れとの相乗効果で再度広範囲にサビが発生する条件が整っていきます。
剥がされたコーティング皮膜は燃料の中を漂って細かく砕けていき
いずれは燃料に混ざり込んだ形でフィルターやポンプを詰まらせていくでしょう。

コーティングが失敗していたとしても、おそらく1年程度の短期間は全く問題ないのかもしれません。
およそ5年程度の長期間になると症状が徐々に出てきます。(弊社調べ)
そして燃料タンク内部を確認すると…大変な事に!といった流れが良くあるパターンです。

 

↓剝離してしまったコーティング皮膜の画像

 

 

これは「実際には有り得ない噂話」や「都市伝説的なホラ話」などではなく
私が携わってきた実体験の話です。
毎年1件ほどですがコーティング失敗した燃料タンクの再施工のご相談を頂戴しますし
弊社が商品化に向けて実験的施工をしていた頃の燃料タンクコーティングでも
同様の症状が発生した経験があります。
こういった結末を迎えないように洗浄作業はしつこいくらいしっかりと実施しましょう。
※ちなみに上画像のコーティングが剝離した真っ二つ切開の燃料タンクのその後、ですが
 弊社にて旧皮膜を手作業で完全に剥がす→内部構造の材質を変更して製作→からの合わせ溶接作業。
 再度サビ取り&コーティング施工して(泣きながら)完成させました。
 もう依頼を受けたくない類の事案なので車種とかはナイショです。

 

 

 

 

■燃料タンク洗浄の基本的な考え方

 

 

実はサビ取りケミカルには洗浄剤の成分が含まれている商品が多いのです。
それはサビ取り性能以外にも燃料タンク内に残った汚れを一緒に落としてしまおう、という
ケミカルメーカー様の大変に親切な考えからそのような配合になっているようですね。
だがしかし!実際にはその洗浄剤成分だけでは落としきれない汚れがあるってことは
お伝えしてきております通りでございますです。
サビ取りケミカルの性能だけに頼るのではなく
汚れを追い出すように剥がしていくような対策を合わせてしなければ
いつまでも経っても洗浄作業は終わりません。
汚れの性質に合わせて洗剤や道具類や施工方法を工夫していく必要があるのです。

 

道具や工具などの例を挙げますと
弊社では基本的な洗浄としては
ボイラー付き200v高圧洗浄機での洗浄や自作のエアガンを使った高圧エアブロー
洗浄剤を高温にして長時間の漬け置き洗浄などを行っています。

 

↓工具製作例:自作のエアガンノズル各種
 先端を自在に曲げて使用できます。
 目的別に長さは3種類&Uターン形状に変更可能。
 エア圧で変形しない強度が欲しかったので外径φ6mm銅パイプを溶接して作りました。

 

 

 

また洗浄剤の漬け置き洗浄については
通常の燃料タンク取付方向(正方向)だけでなく
どのような形状・サイズの燃料タンクでも天地を逆さま(逆方向)にして漬け置きます。

 

↓こちらが車両への取付と同じ向き(正方向)

 

↓こちらが天地を逆にひっくり返した状態(逆方向)

 

これはサビ取りの際にも同じ方法を使いますが
燃料タンク内を満タンにしたケミカルが漏れ出さないように治具を制作して対応しています。

 

↓逆向きにした際にケミカルが漏れ出さないように燃料タンクに合わせて様々な治具を作ります。
 ほんの一例ですが赤枠のようなフタとパッキンを4か所分製作しています。
 ※画像:スバル インプレッサGC8

 

こんな作業を行う理由としては
車両に取付ける向き(正方向)で燃料タンクをケミカルで満タンにしてみると
どのような車種でも天井面に必ずある程度の空間ができるような構造になっているからです。
燃料タンク天井部にこのような空間をわざわざ作ってあるのは
揮発したガソリンを冷却して液化させる機構(セパレーター)や
揮発したガソリンが高圧になった際にチャコールキャニスターへ逃がすバルブの通路などに
液体のままのガソリンが進入しないようにするためです。

なので洗浄剤をいれたまま天地を逆にして漬け置き洗浄をすることで
正方向にしたままの燃料タンクでは洗えない部分も含めて広範囲の内部洗浄が可能になります。
天井部分のセパレーター等のデバイス類やパイプ内部といった
通常の向きでは洗浄作業では洗いづらい場所でもしっかりと洗浄剤が行き渡るようにしています。
コレでも取れない汚れについても色々とヒミツの対策を準備しております。

 

 

 

 

■洗浄・サビ取りの確認は必ず目視で行うべし!

 

 

各工程で内部の確認には
通常は燃料タンク内部に照明を入れてから「鏡」や「小型カメラ」を使用して目視をしていきます。
ここでの「小型カメラ」とは内視鏡のような細いチューブの先端に
カメラとライトが付いていてモニターで映像を見られるタイプのモノになります。
ちなみに弊社で使用しているカメラはSnapOn製です。
①チューブ先端から見て直進方向の撮影(赤矢印
➁チューブ先端から90度直角に曲がった方向の撮影(青矢印
上記2方向の撮影ができる高性能なモデルとなっています。
燃料タンクの作業だけでなく他の整備作業時にも活躍する頼れる相棒ですね!

 

 

給油口やセンダユニット・フューエルポンプの取付穴から小型カメラを入れ込んで確認します。
その他の方法としては伸縮棒の先端に鏡が付いている道具を使い
照明を工夫することで覗き込んだだけでは見えない場所でもかなりの広範囲を確認できますよ~

特にセンダユニットや給油口などの開口部周辺では
小型カメラを使うよりも鏡の方が抜群に目視確認がしやすいです。
この見えづらい部分は高圧洗浄やエア圧を使った洗浄がやりにくい場所でもありますので
洗浄作業の良し悪しを判断する材料として重要な場所となります。

 

ここで問題になるのは燃料タンクの構造的な理由で
「小型カメラでも鏡でも絶対に見えない」場所が出てきてしまうモノがある、ということです。
完全に壁に囲まれて穴も一切開いていないような密室形状の小部屋があったりします。
簡単な構造の燃料タンクしか見たことが無い方ですと簡単には信じてもらえない話なのですが
この世には「何が理由でこんな構造にしたんだ~?」っていう謎に満ちた部品が多々あります。

 

そういった場合には弊社では部分的に小さく穴開けしてカメラを入れて確認をしています。
それでも汚れが酷くケミカルだけでは取れないほど強固な場合においては
人間の手がギリギリ入る程度の穴を開けて素手を突っ込んでヘラで掻き落とすこともあります。
いずれにせよ出来る限り燃料タンクの本体強度に負担の無いように心掛けています。
なんでもかんでも「とりあえず真っ二つに切り刻む!」ようなことはしません。

 

カメラや鏡などの便利な道具類で汚れ自体が確認できたところで
それをジ~ッと見つめているだけでは汚れが落ちてくれる訳でもありません。
どうにも仕方がない場合には物理的な方法でアクセスして
ガンガン汚れを落としていく力技も時には必要なんです。

 

そんなこんなで汚れがしっかりと落とせたならば、いよいよサビ取りケミカルの登場です。
余分な汚れが確実にいなくなっていれば100%の性能を発揮してくれるはずです!
ケミカルメーカーの指定通りの運用を心掛けて使用すれば完璧にサビが取れてくれるでしょう。

 

ただしココで注意点があります。
サビ取りケミカルを使用し内部を乾燥させた後にも必ず内部確認を実施してください。
残念ながら落としきれない汚れがほ~んの少しでも見つかった場合には
必ずもう一度事前洗浄から再スタートして、再度サビ取り作業を進めるようにしてください。

 

ほんの1か所でも汚れが見つかった場合
私の経験上では「他にも汚れが残っている可能性が極めて高い!」からです。
ココを見逃すと大変に不幸な結果しか残りません。
これまでの努力がすべて無に帰す…なんてことにならないように注意深くチェックです。

 

とにかく一筋縄では行かないのが燃料タンクコーティング施工です。
巷で言われるほど簡単な作業ではないかな…と常に感じながら日々作業しております。
内部構造が難しそうな場合には勢いに任せて個人で作業を進めてしまう前に
弊社を含めプロの業者へ一度相談してみてください。
施工歴のある車種でしたら難易度を即答できるケースもあったりしますよ。